RIPARIAN.F.DOGS

ライパリアン.エフ. 〜ちゃこの日常〜

進行性網膜萎縮症(PRA)

進行性網膜萎縮症(PRA)は、遺伝性神経網膜変性疾患の総称です。
視力が低下し、最終的には失明に至ります。
遺伝子型と表現型を見ると、PRA原因遺伝子を保有せず、臨床的に正常な「クリア」、PRA原因遺伝子を一つ保有するものの、臨床的に正常な「キャリア」、PRA原因遺伝子を二つ保有し、PRAを発症する「アフェクテッド」が存在します。

遺伝様式は、常染色体劣性です。
PRAの治療法は確立されていないので、PRA原因遺伝子を後代に残さない繁殖計画が重要となってきます。

しかし、PRAの発症年齢は3~5歳くらいで、それ以前に繁殖する場合、臨床症状からは、PRA原因遺伝子の有無を判断することは出来ません。
キャリア個体同士の繁殖では、クリア:キャリア:アフェクテッドが1:2:1の割合で生まれ、後代にPRA遺伝形質を伝えることとなります。

現在では、DNAによる検査で遺伝的欠陥を確認することも可能となってきています。PRAの一つであるCorn-rod dystrophy 1(cord1)に関わる変異を調べるものです。
GENOMICSという雑誌で2006年にC.S. Mellershらによって発表された論文によると、イギリス、アメリカ、オーストラリアでサンプリングされた臨床的に正常な犬のうち、41.7%がPRA変異を有していることが分かっています。

その後、日本においても、ミニチュアダックスフントのPRA遺伝子保有状況が調べられています。

驚くべきことに、日本においては、臨床的に正常な犬のうち、80%以上がPRA変異を保有していることが判明したそうです(http://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~tsumagar/topix3.htmより)。

つまり、臨床的に現在正常である個体同士の繁殖であっても、、後代にPRA発症してしまう子が生まれる可能性があるのです。

遺伝子検査のメリットとして、臨床症状だけでは分からないPRA変異の保有状況を知ることができることにあると思います。
しかし、遺伝子検査は、PRA発症予測を完全に明らかにするものではありません。未知の遺伝子変異の存在も否定できないからです。

ただこれだけは言えるということは、検査を受けることで、現時点で分かっている変異遺伝子を保有しているのか、していないのか、それがはっきりすることです。検査が無意味なものだとは思いません。PRAを発症する個体を少しでもゼロに近づけていく一つの方法なのではないでしょうか‥。

f:id:cyakomama:20180917074812j:plain
PRA検査結果