RIPARIAN.F.DOGS

ライパリアン.エフ. 〜ちゃこの日常〜

骨盤と胎児のサイズの関係

久々に‥

とある本の272例の難産の原因をみると、大きすぎる胎児や骨盤の異常=狭い骨産道が31.3%を占めている。このような分娩に伴う問題を考える場合、母親のサイズ、子犬のサイズ、骨盤の形について考える必要がある。
食肉類の子供の出生時体重と、母親の体重との間には、高い相関が見られる。つまり、体重が大きい種ほど大きい子供を産む傾向がある。
また、両者の関係の回帰直線の傾きは、単純な比例関係の場合の傾き1より小さい。小さな母親ほど、相対的に大きい子を産むということになる。
犬についてみると、大型犬種であるグレート・デーンでは、母犬の体重の1.03%の重さの子を産む。一方、小型犬種であるダックスフンドでは、3.34%にもなる。(ちなみに、余談となりますが、この視点で見るとベルタさんは自分の体重の6%もあるでっかい子を産んだことになりまする〜^^;)
次に、脳重量を体重に対してプロットし、その関係を見ていくと、どの主要な動物群においても、両対数軸の回帰直線の傾きがほぼ2/3〜3/4になっている。小さな動物ほど、脳は相対的に大きいということが分かる。犬についてみると、両者の関係の傾きは、0.3(おおよそ1/3)である。主要な動物群と犬における回帰直線式の交点は、体重12~3kgであり、よって、それより小さな犬ほど主要な動物群よりより大きな脳を持つと言える。
犬の骨盤の形を見ていくと、通常、骨盤腔は横幅よりも縦の方が長い。大型犬の骨盤腔が楕円形であるのに対し、小型犬の骨盤腔は丸みがついていて短い。体重と骨盤腔の幅には相関がみられる。体重に対する骨盤腔の幅との関係の回帰直線の傾きは、横幅は0.21、縦幅は0.23である。つまり、小型犬ほど、相対的に大きな骨盤を持つこと、また、骨盤腔の幅は、縦幅の変化よりも横幅の変化の方が緩やかであるということが分かる。
このように、体重というスケールが変化することで、すべての器官が単純に一定の割合で変化するわけではないことが分かる。
小さな体で大きな頭を持つ胎児を産むために、サルの仲間では雌雄二型性を取り入れているものもある。犬においても、例えば基準書によると、チワワ、狆は、メスの体長がオスよりも長くても許容される。これも雌雄二型性と捉えることができる。‥とはいっても、雌雄二型性で対応できる部分には限界がある。

‥という訳で、お産のことを考えた場合、単純に母体の骨盤サイズのみを重要視するのではなく、父犬、母犬の体サイズに対する頭の大きさも考慮に入れた方が良いのかなと思ったのであります。ただ、やっぱりその父犬、母犬だけを見ただけでは普通は頭と骨盤サイズのバランスがどうなのか?素人には分かる故もなく、これまでの先祖代々のお産傾向を知ることができれば一番ベストなんでしょうね。

参考文献については省略しましたが、お気軽にお問い合わせ下さい♪