ふらりと立ち寄った本屋さんにて。
「デザイン犬図鑑」なるものが…。
デ，デザイン犬って何だよそりゃ〜
。ようは，純血種×純血種の１代雑種のことを言っているようですが………。
雑種強勢により，優れた性質を受け継ぐ，丈夫であること…が強調されているように思えましたが，そもそも，犬という同じ種なので，単純にこの雑種強勢という意味が当てはまるのかが疑問でした。
両親の異なる良い性質，特性を受け継ぐ…というフレーズにも疑問です。それは，どんな特徴を持ってして良い形質とするのか，その定義がないことからです。ようは，繁殖基準がない無法地帯のようなものと思えました。そもそも，受け継いだとされるとある犬種の特徴は，先人の方々が好ましい，必要と思う特徴を健全性も考慮しながら長い時間をかけて固定化してきたものです。たった１代限りで良いとこどり…そんなことができるなら，我が家だってカニンヘンダックスフンドの繁殖に苦労なんてしません。より良い点をきちんと受け継ぐ…それができるようでなかなかできないからこそ，ブリーダーさんと呼ばれる人達は，長い年月をかけて何代もその犬の繁殖に取り組んでいるのではないでしょうか…。
遺伝疾患が少ない…等の理由も納得いきませんでした。純血種であろうが，遺伝疾患があるものを繁殖に用いれば，遺伝疾患を持った子が生まれる可能性が増加します。また，逆に，遺伝疾患を持たない子を繁殖に用いれば，遺伝疾患を持つ個体を減らしていくことが可能です。海外で報告があるように，股関節形成不全に対する取り組みをきちんと行うことで，その数を減らしていることは周知の事実です。なので，デザイン犬＝遺伝疾患が少ない…という認識ではなく，純血種であろうとなかろうと両親犬が遺伝疾患を持たないこと，健全であることが望ましいのです。
現代において多種多様な犬種が存在することは，多くの犬種を掛け合わせることで生まれてきたものなのだとは認識しています。ただ，現代のように見た目が珍しい，可愛い等の理由でのオンリーワン的な犬を欲するようなミックス犬，デザイン犬のあり方には疑問を感じます。
雑種を否定する訳ではありません。我が家の初代犬も捨て犬を拾ってきた子です。雑種です。この子ももちろん我が家の家族の一員で大事な存在だったし，今いる純血種と言われるベルタ達だって大事な存在です。
雑種＝体が丈夫という認識は私にはありませんでした。そもそも，拾ってきた犬なので，両親がどういう子かも分かりません。血統的背景が何も分からない状況です。こんな中で，どう解釈したら雑種＝丈夫という結論に至るのかが分かりません。
ミックス犬，デザイン犬＝丈夫である。本当にそうと言えるのでしょうか？両親犬とも健全であったとして，純血同士の交配と，異種交配とで子の健全性に違いが生じているというデータがあるのでしょうか？私には分かりません。ダックスフンドとチワワのミックス犬などもいますが，チワワの足でダックフンドの体重を支えることができるのでしょうか？両親の良いとこ取り！？！？意図した通りの結果ばかりが出るとは到底思えません。
イングリッシュコカー×プードル，ラブラドール×プードルなどは，海外でも長い歴史があると聞きます。きちんと目的を持って，犬種として認められるよう選択繁殖，計画繁殖を行っているのものだと私は認識しています。
さて，日本のミックス犬，デザイン犬ブームは，何を見据えて命を創造しているんでしょうかね？？？
