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- 職場とも今日でさようなら。
リンゴの樹。ぐるっと見回しても,やっぱりリンゴの樹。
悲しくって樹の横で泣いた。
辛くって樹の傍らで眠った。
楽しくって,お腹がよじれるくらい樹の前で笑った。
脚立の上から眺める樹達は最高。
草取りをしながら,下から眺める樹と空も最高。
今日はどれくらい色づいたかな?と眺めたリンゴ。
背中まで赤くなったかな?お尻まで赤くなったかな?葉陰まで赤くなったかな?
下からのぞいたり,回してみたり,葉っぱをめくってみたり‥‥。
待ちに待った収穫。リンゴを食べるのだ。
でも,それで終わりじゃない。
最後に,枝をすっきり整えて,吊り紐も整理整頓。
樹の周りを綺麗に片付けて‥。花の季節を待つのです。
私は今度の花は見ることができない。それが残念。
でも,きっと綺麗な花が咲くでしょう。
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- 最後に私の心のこと。
ダメージを受けた。病んでいた。処世訓的なアドバイスも,大人の常識を振りかざされるのももうたくさん。意見を押し付け,受け入れないなら見捨てる‥。そんなのが大人というなら私は子供で結構。
一方,ただ黙って見守ってくれる人もいた。私の気持ちが落ち着くのを待つことは,決して楽なことではなかったと思う。でも,変わらないその態度のお陰で,私はまた心が育つ場所を見つけた。温かかった。
人っていうのは,自分一人で勝手に病むものじゃない。個に影響を与えるのは,個をとりまく複雑な環境。自然とおんなじ。それを分かってほしかった。この環境は,どこかバランスが崩れていないかい?って。そこに生きるのは苦しくないかい?って。
だから,職場を去ることはちっとも悲しくない。ただ,残されたリンゴの樹が心配になるだけ。残る人達にリンゴの樹をのんびり見てまわる心の余裕はあるのかな?リンゴの樹はとても正直だよ。みったぐない樹達がたくさんいるよ。
それでいいの‥‥?