RIPARIAN.F.DOGS

ライパリアン.エフ. 〜ちゃこの日常〜

『風が強く吹いている』

『風が強く吹いている』三浦しをん
竹青荘に住む素人を含めたたった10人で箱根駅伝の頂点を目指す。「速さ」ではなく「強さ」とは何かを求めながら。その頂点は1つではなくまさに十人十色。


駅伝にはまったく興味のない私。そして,駅伝を少しでも知っている人にとってはありえない設定(おそらく…)。
だけど,三浦しをん著…ということで手にとった。期待を裏切らない内容。むしろそれ以上。


「頂点を見せてあげるよ。いや,一緒に味わうんだ。楽しみにしてろ」…と,竹青荘の住人達を箱根駅伝まで導いた清瀬灰次。
膝の故障により走りに裏切られたと感じた。だけど走ることを,走りとは何なのかを探求せずにいられない。走っても走らなくても,苦しみはある。そんな当たり前のことに気付いた清瀬灰次は,竹青荘の住人達の走りに対する姿勢を責めない,感情と誇りをないがしろにしない。清瀬灰次にとって,走ることと生きることは同じことだから。


そして,魂の底から走ることを追求する清瀬灰次にとって理想の走りは蔵原走。

走は,清瀬の理想の走りを地上に実現してみせる。清瀬が求め,あがき,ついに届かずに終わろうとしているものを,いともたやすく視覚化してみせる。これほどまでにうつくしい生き物を,ほかに知らない。


理想を前にして,むなしさと言い表すほかにない葛藤が心に生じる清瀬灰次。だけど,見つめ,求めずにはいられない。



そして,真摯に走りに向き合う十人がそろい,箱根駅伝が現実の大会となった時,清瀬灰次の魂は喜びで満たされる。

俺がついに手に入れた,希望の形を見てくれ。走るという行為を,それぞれに体じゅうで表現する,この十人を見てくれ。


まさに自分の発した言葉どおり,清瀬灰次は頂点を味わう。

必ずそこまでたどりつく。強く吹く風が教える。俺は走っている。俺の望んだとおりの走りを,俺はいま体現している。すごくいい気分だ。これほどの幸福はない。


今回は箱根駅伝見なきゃ〜って気分です♪


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