RIPARIAN.F.DOGS

ライパリアン.エフ. 〜ちゃこの日常〜

PRA

ミュウのPRA検査を受けました。結果はクリアでした。以前は、この手の遺伝子検査の真偽についてネットで見る限り、納得できない部分があり足が遠のいていましたが、「あ〜、ネット見ても分からないし、人から聞いても分からないし、もう業者さんに直接聞いちゃえ!んでもって、何が根拠となっているのか分かったらラッキー」ってな勢いでまた一人爆走。。。。。。。。タッッタッタッタッタッタタタタタタタ!( ^^)ノノ

真面目に書きますね。

進行性網膜萎縮症PRA)は、遺伝性神経網膜変性疾患の総称です。視力が低下し、最終的には失明に至ります。遺伝子型と表現型を見ると、PRA原因遺伝子を保有せず、臨床的に正常な「クリア」、PRA原因遺伝子を一つ保有するものの、臨床的に正常な「キャリア」、PRA原因遺伝子を二つ保有し、PRAを発症する「アフェクテッド」が存在します。
遺伝様式は、常染色体劣性です。PRAの治療法は確立されていないので、PRA原因遺伝子を後代に残さない繁殖計画が重要となってきます。
しかし、PRAの発症年齢は3〜5歳くらいで、それ以前に繁殖する場合、臨床症状からは、PRA原因遺伝子の有無を判断することは出来ません。キャリア個体同士の繁殖では、クリア:キャリア:アフェクテッドが1:2:1の割合で生まれ、後代にPRA遺伝形質を伝えることとなります。
現在では、DNAによる検査で遺伝的欠陥を確認することも可能となってきています。PRAの一つであるCorn-rod dystrophy 1(cord1)に関わる変異を調べるものです。
以下、「」部分は、GENOMICSという雑誌で2006年にC.S. Mellershらによって発表された論文を、私なりにPRAに関わる部分を要約したものです。
イギリスのとある1つの家系のミニチュアダックスフントを用いて変異部位を特定した。さらに、イギリス、アメリカ、オーストラリアでサンプリングされた38匹のミニチュアダックスフントを調べたところ、臨床的に正常な26匹中、10匹(26.32%)が遺伝型はクリア、14匹(36.48%)が遺伝型はキャリア、2匹(5.3%)が遺伝型はアフェクテッドであった。また、残りの12匹(31.58%)が獣医師によってcord1と一致する臨床症状を示し、遺伝型はアフェクテッドであった。臨床的には正常にも関わらず遺伝型はアフェクテッドであった2匹の犬の年齢は、2歳と10歳であった。変異の発生、発現をコントロールする変更遺伝子の存在も示唆される。
以上より考えると、

1. 遺伝子検査を行ったとしても、PRAの一つであるcord1を調べるものであることから、すべてのPRAを網羅している訳ではないこと。
2. イギリス、アメリカ、オーストラリアのミニチュアダックスフントと血統的に交流の少ない遺伝的にかなり隔たりのあるミニチュアダックスフントに対し、どこまで有効な検査が行えるのか?
3. 変更遺伝子が実際に存在しているのか、cord1に関わる遺伝子が他にも存在するのか

など気になる点はあります。
遺伝子検査は、PRA原因遺伝子の有無、PRA発症予測を完全に明らかにできるものではないかもしれません。また、遺伝子検査は対象犬種が限られていて、ダックスフントではミニチュアが対象です。ミュウのように、血統の半分がミニチュア、半分がカニンヘンで構成されている子の場合、検査の有効性はまだまだ分からない部分もあります。しかし、検査が無意味なものだとは思いません。PRAを発症する個体を少しでもゼロに近づけていく一つの方法なのではないでしょうか‥‥。